寝ながら学べる構造主義 内田樹 文藝春秋
【どのような本か?】
「構造主義」という観念・思考法について、それを作り上げてきた哲学者たちの歴史を踏まえた観点から解説した本。
【概要】
まず初めに近代哲学における3大巨匠と名高いマルクス、フロイト、ニーチェの3人についての解説、構造主義のいわば「土台作り」がなされた背景を述べている。
そして構造主義の先駆けとなったソシュールの言語学の概念の説明に始まり、構造主義の「四銃士」であるフーコー、バルト、レヴィ=ストロース、ラカンの思考の足跡をたどることで構造主義について体系的に説明している。
【感想】
構造主義という難解な概念が新書のボリュームで平易に解説されており、大変読みやすかった。このような哲学的概念についての解説書は往々にして抽象的な言葉のオンパレードで構成されているものが多く、とっつきにくいのが一番の難点であるため、その点においてはとてもありがたい。
構造主義を一言で表すと、「社会活動は人間の自主性に基づいて行われているというよりも、既に出来上がってしまっているシステム・決まりごと・自然法則(つまり構造)に大きく影響され行われている」といったところであろうか。
近代哲学史のみならず、現代を支配しているイデオロギーを俯瞰的に理解する上での足がかりとなるような一冊であると思う。
初めての書評投稿です。
哲学には興味があり書店の店頭にて手に取ったものをふと購入したのですが、初版が2002年だということに驚きました。
感想・指摘・意見等々ございましたらご教示いただけると幸いです。