けそのつらつら日記

考えたことをつらつらと記すブログ。書評メインの予定。

イスラム金融入門 門倉貴史 幻冬舎新書

【概要】

イスラム教圏内の金融業界においては、日本・アメリカ・西欧諸国と異なり、コーランの教えに従い利子取引を禁じた「イスラム金融」が主流となっている。そのイスラム金融商流および国別の状況について詳しく述べたもの。

【感想】

一般的には「金融業界の収益」=「利息収入」とみなすのが日本の常識ではあるが、本書はその常識を覆す一冊である。結局は利息を徴収しない代わりに卸売・リース・VCの形態で儲けを出しているにすぎないというのが実情であるが、かといって決して侮るべきではない。なぜならイスラム教国家の多い中東は原油の産出国や経済成長率の高い国が多いうえに、イスラム教徒のコミュニティーにおける結束が強固であることも影響して、世界の資本がイスラム金融流入する傾向にあるからだ。

本書が記されれたのは2008年であり現在と世界情勢は異なっている面もあるものの、今後もイスラム金融の動向については気になるところである。