けそのつらつら日記

考えたことをつらつらと記すブログ。書評メインの予定。

脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体 中野信子著 幻冬舎新書

【概要】

人間の快楽を司るドーパミンについて脳科学の観点から分泌される経緯・具体的なケースなどについて解説した本。

【感想】

「快楽」と聞くと食欲・性欲の充足、ギャンブルへの熱中などのいわゆる「快感」がイメージされがちだが、本書においては「快楽」について人間の本能的なレベルにとどまらず社会的なレベルの次元まで、快楽を感じる部位である「報酬系」のはたらきによって説明している。

本能的快楽が満たされたときだけでなく社会的快楽が満たされた際にもドーパミンは分泌され報酬系は活性化しており、この現象は対人関係に重きを置く人間特有の現象である。

また換言すれば社会的報酬については上手に利用すれば自身の社会的活動(仕事、ボランティアetc…)のモチベーション維持に貢献するものの、一方本能的快楽と同様それが暴走する可能性も秘めている。近年の「インスタ映え」現象は、他社からの承認欲求を満たすための手段として自身を偽ったりするなど、まさにその代表例と言えるのではなかろうか。

自身の人生における「快楽」の正しい捉え方を認識する上で、読んで損のない一冊であると思う。