けそのつらつら日記

考えたことをつらつらと記すブログ。書評メインの予定。

他人をバカにしたがる男たち 河合薫著 日本経済新聞出版社

【タイトル】

他人をバカにしたがる男たち 河合薫著 日本経済新聞出版社

【概要】

健康社会学および脳科学の観点から現代人の「ジジイ化」に焦点をあて論述したもの。

【感想】

能力がないのに妙に偉ぶる上司、日によって不機嫌になり細かいミスについてねちねちと言及してくる先輩、後輩には嫌味や愚痴をきく半面上司にはこびへつらう同僚etc… 社会人であれば誰もが相見える存在ではなかろうか。

このような「他人をバカにしたがる」人間について、そのメカニズムを理系的アプローチから解明を試みているのが本著である。

人間は誰しも現代社会でストレスを抱えており、それに対抗するための自己防衛的な手段として、自己の社会的評価を上げるために上記に挙げたような行動をとりがちである(この手段のことをGRR:Generalized Resistance Resource=「汎抗的資源」という)。これは人間の生存本能の観点から見れば理にかなっている一方、周囲の人間に不快感を与えるなど悪影響をおよぼし社会的活動の前進を阻害するリスクも孕んでいる。以上の事項を踏まえたうえで、そのような行動に走りがちな人間の弱さを認めること、人間とは社会的動物であり他社との共存なしには生きていくことは非常に困難であることを自覚し、物事を前向きにとらえる力を得ることこそ現代人にとって不足しており、身につけるべきスキルなのである。